相続・遺言

相続や遺言の問題は、財産の分け方だけでなく、ご家族の関係やこれまでの経緯が深く関わることがあります。相続人同士で話し合おうとしても、意見の対立が大きくなったり、何を基準に判断すればよいのか分からなくなったりすることがあります。

「遺産の分け方で話がまとまらない」「遺言書が見つかったが、内容や有効性、遺留分への影響を確認したい」「親に借金があるかもしれず、相続放棄を検討している」「将来、家族間の紛争をできる限り避けるために遺言書を作っておきたい」など、相続に関する不安や疑問がある場合には、早い段階で状況を整理しておくことが重要です。

当事務所では、相続人の範囲、遺産の内容、遺言書の有無、ご家族の関係、これまでの財産管理の状況、今後想定される手続などを確認し、どのような対応が考えられるかを整理します。

相続の問題では、最初の段階で事実関係や資料を整理するとともに、期限のある手続がないかを確認することも重要です。

遺産分割

共同相続人は、原則として協議により遺産の全部又は一部を分割することができます。

相続人間で遺産の分け方について話合いがまとまらない場合には、まず相続人の範囲、遺産の内容、遺言書の有無、これまでの財産管理の状況などを確認します。

たとえば、

・不動産を誰が取得するかについて意見が合わない
・預貯金その他の財産の分け方について争いがある
・他の相続人が財産を管理しており、その内容が分からない
・生前贈与について特別受益として考慮すべきか問題となっている
・被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした相続人が寄与分を主張している
・相続人の一人が話合いに応じない

といった場合があります。

共同相続人間で遺産分割の協議が調わない場合又は協議をすることができない場合には、各共同相続人は家庭裁判所に遺産分割を請求することができます。

遺産分割調停が不成立となった場合には、調停申立時に遺産分割審判の申立てがあったものとみなされ、審判手続に移行します。

遺産分割協議書の作成・確認

相続人全員の間で遺産の分け方について合意できた場合には、その内容を遺産分割協議書として明確にしておくことが重要です。

遺産分割そのものは共同相続人の協議によって行うことができます。

不動産、預貯金その他の財産について、誰が何を取得するのかを整理し、後に解釈の違いが生じにくい内容となっているかを確認します。

既に相続人間で作成した遺産分割協議書案について、その内容を確認するご相談も可能です。

相続放棄

亡くなった方に借金や保証債務がある可能性がある場合には、相続放棄を検討することがあります。

相続放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければなりません。

相続放棄は、原則として、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に行う必要があります。

この3か月の期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができます。

また、相続人は、相続の承認又は放棄をする前に相続財産を調査することができます。

相続人が相続財産の全部又は一部を処分した場合には、保存行為等を除き、単純承認をしたものとみなされることがあります。

そのため、相続放棄を検討している場合には、相続財産を処分する前に確認することが重要です。

相続放棄をした者は、その相続について初めから相続人とならなかったものとみなされます。

遺留分

兄弟姉妹以外の相続人には、法律上一定の遺留分が認められています。

遺言や生前贈与によって遺留分を侵害された場合には、受遺者又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができます。

反対に、遺留分侵害額を請求された場合には、相続財産の内容、生前贈与、遺言内容、請求額などを確認する必要があります。

遺留分侵害額請求権は、遺留分権利者が相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは時効によって消滅し、相続開始から10年を経過したときも消滅します。

そのため、遺留分の問題に気付いた場合には、期間制限を早めに確認することが重要です。

遺言書が見つかった場合

遺言は、法律に定められた方式に従って作成しなければなりません。

通常の方式による遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言及び秘密証書遺言があります。

亡くなった方の遺言書が見つかった場合には、

・どのような方式で作成された遺言書か
・その方式について法律上必要な要件を満たしているか
・遺言の内容はどのようなものか
・遺留分の問題が生じないか
・遺言執行者が指定されているか

などを確認します。

自筆証書遺言は、原則として、遺言者がその全文、日付及び氏名を自書し、押印して作成します。ただし、自筆証書に一体のものとして相続財産の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については自書を要しませんが、各頁への署名・押印等の要件があります。

遺言書の保管者は、相続開始を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して検認を請求しなければならず、保管者がいない場合に相続人が遺言書を発見したときも同様です。

ただし、公正証書による遺言には、この検認の規定は適用されません。

また、法務局の遺言書保管所に保管されている自筆証書遺言についても、家庭裁判所による検認は不要です。

遺言書の内容に疑問がある場合には、単に内容に納得できるかどうかだけでなく、遺言の有効性、遺留分、遺言の解釈など、それぞれの法律上の問題を分けて検討することが重要です。

遺言書を作成したい場合

遺言は、法律に定める方式に従ってしなければなりません。

自筆証書遺言については民法968条、公正証書遺言については民法969条に、それぞれ方式が定められています。

遺言書を作成する場合には、単に財産の分け方を記載するだけではなく、法律上必要な方式を満たしているか、遺留分との関係で紛争が生じる可能性がないか、実際の相続手続を進めやすい内容になっているかといった点も重要です。

ご本人の希望、家族関係、財産の内容などを確認し、どのような遺言内容が考えられるかを検討します。

自筆証書遺言については、法務局の遺言書保管官に対して保管を申請することができます。

不動産を相続した場合

不動産を相続した場合には、遺産分割だけでなく、相続登記についても確認する必要があります。

2024年4月1日から、相続によって不動産の所有権を取得した者には、原則として、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に所有権移転登記を申請する義務があります。

法定相続分による相続登記をした後に遺産分割が成立し、その遺産分割によって法定相続分を超えて所有権を取得した場合には、その遺産分割の日から3年以内に所有権移転登記を申請しなければなりません。

2024年4月1日より前に開始した相続についても、相続登記の申請義務化の対象となります。経過措置により、既に義務の起算点となる事実を知っていた場合には、原則として2027年3月31日までに対応する必要があります。

正当な理由なくこれらの登記申請義務を怠った場合には、10万円以下の過料に処せられることがあります。

相続財産に不動産が含まれる場合には、遺産分割の内容と併せて、登記の必要性や期限について確認することが重要です。

遺産分割協議がまとまっていないなどの事情がある場合には、相続人申告登記によって相続登記の申請義務を履行する方法も設けられています。

登記手続について司法書士等への確認が必要となる場合には、その点も含めて整理します。

相続では期限の確認も重要です

相続に関する手続には、それぞれ異なる期間制限があります。

たとえば、

相続放棄については、原則として自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内です。
・遺留分侵害額請求権については、原則として相続開始及び遺留分侵害を知った時から1年、相続開始から10年という期間制限があります。
・相続による所有権取得に係る相続登記については、原則として相続開始及び所有権取得を知った日から3年以内です。

相続人間で話合いを続けていること自体によって、これらの期間が当然に停止するものではありません。

そのため、相続が発生した場合には、「何をいつまでに行う必要があるのか」を確認しておくことが重要です。

このような場合にご相談いただけます

・相続人同士で遺産の分け方について話がまとまらない
・他の相続人が財産を管理しており、内容がよく分からない
・亡くなった親に借金があるかもしれず、相続放棄をするべきか迷っている
・遺言書が見つかったが、内容や有効性を確認したい
・兄弟姉妹のうち一人だけが多くの財産を受け取っている
・遺留分を請求したい、又は請求されている
・遺産分割協議書を作成又は確認してほしい
・自分の希望に沿った遺言書を作成しておきたい
・将来の相続トラブルをできる限り避けるため、生前に準備しておきたい
・不動産を相続したが、必要な手続が分からない
・相続について、何から始めればよいか分からない

成年後見・財産管理について

高齢のご家族の判断能力や財産管理についての問題は、相続とは別に、成年後見・任意後見等の制度を検討する必要がある場合があります。

このような問題については、「成年後見・任意後見」のページもご覧ください。

他の専門家との連携が必要となる場合

不動産の登記、相続税・贈与税その他の問題が関係する場合には、弁護士による法律関係の整理に加えて、司法書士・税理士等の専門家による確認が必要となることがあります。

ご相談内容を確認したうえで、どの分野について別の専門家への確認が必要かを整理します。